海外赴任中・海外在住中の期間も、日本の消滅時効は通常通り進行します。海外に住んでいることで時効が止まるわけではありません。ただし、債権者からの請求書類が日本の旧住所に届いて公示送達扱いになるリスクがあります。海外から援用通知を出す場合は、電子内容証明(e内容証明)を国内代理人経由または自身のオンライン申込で発送できます。
1. 海外在住でも時効は進む
「海外にいる間は時効が止まるのでは」とご質問を受けることがありますが、日本の消滅時効は、債務者の居住地に関係なく進行します。海外赴任中・留学中であっても、最終取引日から5年経過すれば、要件を満たして援用できます。
更新事由(一部弁済・承認)がなければ、海外赴任5年間をそのまま経過させることで時効期間が満了するケースは実務でも見られます。

2. 住民票と送達のリスク
海外赴任時に住民票を抜いた(海外転出届を出した)場合、住民登録上の住所が消えます。この状態で裁判書類を送達しようとすると、債権者は住民票の直近の住所を送達先にせざるを得ないため、旧住所への送達、公示送達扱いが発生しやすくなります。
海外から帰国されたとき、すでに債務名義が確定しているケースが見つかることがあります。帰国後はまず信用情報開示を行ってください。
3. 海外から援用する方法
海外在住の方が援用通知を発送する方法は、次の2パターンがあります。
- 日本の家族・知人を代理人とし、委任状に基づき国内から電子内容証明で発送
- ご本人が日本語可能なPCから、日本郵便のe内容証明にオンライン申込(差出人欄に海外住所を記載)
当センターでは、海外在住者からのご依頼も受け付けています。お申し込みフォームに海外住所をご記入のうえ、本人確認書類をお送りいただきます。
4. 帰国後の対応
帰国後、郵便物が溜まっていた場合はまず中身を確認します。督促状・裁判書類があれば写真に撮り、当センターへお送りください。援用可能性と、弁護士領域(裁判書類あり)の切り分けを行います。
住民票を再登録する前に信用情報開示を行うと、現在の登録状況が確認できます。
5. 赴任前の確認事項
これから海外赴任する予定がある方は、次の3点を準備してください。
- 未払い債務の有無を信用情報開示で確認
- 日本の家族・知人を送達の代理受領者として確保
- 現地でも日本のクレジットカードが使えるよう、延滞がないものを1枚整理
この記事に関するよくある質問
Q1. 海外にいる間は時効が止まりますか?
止まりません。日本にいるのと同様に時効は進行します。
Q2. 海外から援用通知を出せますか?
出せます。当センターが海外からのご依頼を受け、日本の電子内容証明で発送代行できます。
Q3. 住民票を抜いた期間の取扱いは?
時効の進行に影響しません。ただし債権者側の送達先が旧住所になり、公示送達のリスクがあります。
Q4. 帰国後に裁判書類が発見されました。どう対応すべきですか?
期限内なら異議・答弁、期限後なら再審検討など、弁護士業務領域に入ります。当センターから弁護士をご紹介します。
Q5. 海外在住で本人確認はどう行いますか?
パスポートコピー・在留証明・メールでの本人確認を組み合わせ、複数方法で行います。